第一話

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第一話

ピピピッ ピピピッ ピピピッ♪ 10畳程のワンルームにアラームの音が鳴り響く。 『ふぁ~ぁ……』 アクビと共に伸びをして起き上がったのが、この部屋の住人、望月 要である。 高1の春から、この部屋で一人暮らしを始めて一年になる。 今日から新学期。 まだ肌寒い朝の空気に身震いしながら、渋々ベットから抜け出し、洗面所に向かう。 蛇口から流れる冷たい水に顔をしかめながら、顔を洗い、タオルで拭きながら顔を上げると、鏡にはシュッとした綺麗な顔立ちに、カラーリングした赤い髪が窓から入る日の光に照らされ輝いている。 要 「…………ダル…」 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一口飲むと、体の底から一気に冷えてくる。 お構い無しに、どんどん水を流し込む。 自分の心を凍らせるように。
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