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(今までの自分の行いを悔い改めて許しを請えって。それと決して、目を閉じるなって)
「自分の行いを悔い改め……。やっぱり乱暴に扱ってるから――」
(うるさい!)
もうその話は終わったのよ。いちいち蒸し返さないで。
「だって、事実じゃん」
(じゃあ、目を閉じるなっていうのは、なんだっていうのよ)
「さあな。けどどっちにしろ、その付喪神っていう神様に許してもらわなきゃ元に戻れないってわけだ。じゃなきゃ、お前は永遠に枕のまま…………って、ん?」
ずっと鞄の中に入れておくのも不憫に思ったのか、誰も居ないことを確認した後、雅也は鞄の中からわたしを出した。
けれど出した途端、怪訝そうな顔で首を傾げる。
(な、なによ)
「いや、お前。最初からそんなに小さかったか?」
(え?)
「もう少し大きかったと思ったんだけど」
と、雅也はもう一度わたしを鞄の中へと戻す。
すると、今まで気が付かなかったが、朝はギリギリ押し込めば入るくらいのスペースだったのが、今では筆箱一つ分余裕があるほどスムーズに入った。
「やっぱり、お前小さくなってるよ」
(なに訳分かんないこと言ってるのよ。鞄の中身減らしたんじゃないの?)
「いやいや、中身変わってねえし。それに、ほら」
雅也はわたし机の上に置くと、並ぶように頭を横にして突っ伏し始めた。
ちょっ……か、顔が近いっ! や、やだっ。
離れてよ…………ん?
わたしはふと、その近さと自分の視界の狭さから疑問が浮かぶ。
おかしい。
さっきまで普通に雅也の全体が見えたはずなのに、今じゃ顔の一部分しか見えない……。
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