◇プロローグ◇

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
(……ッ!?)  東の空から太陽が昇り始めた頃、わたしは何かに呼び起されたように目を覚ました。  何かの夢を見ていたような気もするが思い出せない。 けど、胸の辺りからザワゾワと落ち着きがない。 目を覚ました今でも残っていた。 (夢……?)  未だ現実味のない感覚が残る体を落ち着かせるため深く呼吸をし、ゆっくりと辺りを見渡した。  東側に面した部屋。 茶色い木製の扉と対面するように一段式のベッドがあり、その隣には頭を揃える様に置かれた机。 机の上には先月発売されたファッション雑誌と、使いっぱなしの化粧道具が散らばり、椅子の上では洗濯物が積み重なっている。 (ここ……わたしの部屋だ)  我ながらきたな――いや、必要な物がいつでも手の届く所に置かれた、何とも使い勝手の良い部屋だと思いながら、 今自分が居る場所が、少なくとも知っている所ということに安心感を抱いた。  けど、どことなく違和感もあった。 凄く見下ろされている感があって落ち着かない。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!