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(な、なにそれ。目を閉じるなって、寝るなってこと?)
『さあ? ワタシ達は元々器物なので。この方法も器物同士の風の噂で聞いただけですし』
(意味が分からなきゃどうしようもないじゃない。役に立たないわね)
分からないことだらけでストレスが溜まる。
だけど、その苛立ちをぶつけることさえ今のわたしには出来ない。
(まったく、みんなして役に立たないんだから。わたしがなにしたっていうのよ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないわけ? 意味分かんないんだけど!)
『…………』
苛立ちを言葉にぶつけていると、上の方から視線を感じる。
(……なによ)
『いえ? 別に』
見ると、鞄がじっとわたしの方を見つめていたが、なんでもない、とにっこり微笑んだ。
(ふんっ)
その視線が気になりはしたが、今のわたしはそれどころじゃなかった。
(絶対、元に戻ってやるんだから。そんでもって、こんな目に遭わせた奴らに仕返ししてやる)
積年の恨みを呪いによって解消するように、一人ぶつぶつと呟くわたし。
その様子を鞄は何も言うことなくじっと見つめていた。
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