◇枕になって◇

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(な、なにそれ。目を閉じるなって、寝るなってこと?) 『さあ? ワタシ達は元々器物なので。この方法も器物同士の風の噂で聞いただけですし』 (意味が分からなきゃどうしようもないじゃない。役に立たないわね)  分からないことだらけでストレスが溜まる。 だけど、その苛立ちをぶつけることさえ今のわたしには出来ない。 (まったく、みんなして役に立たないんだから。わたしがなにしたっていうのよ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないわけ? 意味分かんないんだけど!) 『…………』  苛立ちを言葉にぶつけていると、上の方から視線を感じる。 (……なによ) 『いえ? 別に』  見ると、鞄がじっとわたしの方を見つめていたが、なんでもない、とにっこり微笑んだ。 (ふんっ)  その視線が気になりはしたが、今のわたしはそれどころじゃなかった。 (絶対、元に戻ってやるんだから。そんでもって、こんな目に遭わせた奴らに仕返ししてやる)  積年の恨みを呪いによって解消するように、一人ぶつぶつと呟くわたし。 その様子を鞄は何も言うことなくじっと見つめていた。
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