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◇プロローグ◇
『魂蔵(たまくら)』。
それは読んで字の如く、魂の蔵。
今で言う、枕の原語となる言葉。
昔から、人が寝ている時に意識、いわゆる魂が体から抜け出していくという説から、その魂をしまう場所として枕が使われてきた。
今ではそんな言い伝えも廃れ、当たり前のように枕が使われている時代にも関わらず、そういう話があったということさえ知らない人達は多い。
そんな枕の言い伝えにはもう一つ、対になるものがある。
しかし、それを知る者は殆どいない。
語り継ぐにも、語る人物が忽然と姿を消していなくなってしまうからだ。
そんないわく付きの言い伝えを知っているごく僅かな人たちは皆、口をそろえてこう言った。
「決して、目を閉じるな。目を閉じたら最後、元には戻れない……」
彼らに何があったのか、それを知る者は誰もいない……。
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