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青い空。
赤い焔。
黒い煙。
轟く轟音。
崩れた建造物。
割れた地面。
煤けた木々。
逃げ惑う人々。
「……ろ……さ…!」
ついに俺の地域にまで来やがったか。
アイツらがこの国に上陸して半年。
当初は微弱だった侵攻も、今では激しさをまし、崩壊した地域も広がりつつある。
「…きろ……さ…!」
今ほど『力が欲しい』と願ったことは無い。
草木を焼く焔の熱で、喉が焼けた。
黒い煙が気管に入り、肺をやられた。
間近で建物が倒れる音で、鼓膜が痛い。
「…きろ…ま…る!」
変形した石畳に足を取られて、転倒した。
あぁ、アイツらが俺へと近づいてくる。
結局、誰も救えなかった。
無力なまま、俺は死んでいくのか…
「そろそろ起きろ勝!!」
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