小さな故意の物語

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――××ちゃん――  八年前、私の両親はとある誘拐・監禁事件の被害者としてこの世を去りました。  まだ幼かった私に一人で生きていく術などあるはずがなく、親戚の叔父さんに引き取られることになります。  叔父さんはとても優しく、両親を亡くして傷心していた私を無償の愛で包みながら育ててくれました。  ですが困ったことに、叔父さんには一つとても大きな問題がありました。  そう、叔父さんはロリータ・コンプレックス、つまりロリコンだったのです。ひゃー。  ですが叔父さんは性的嗜好、所謂「少女性愛」までは持っていなかったようなので、べたーっとした視線を四六時中向けられていることを除けば、割と穏やかな日常を送ることができました。  しかし、私たち人間は歳を取ります。当然、幼かった私も歳を取り、身体つきは女性らしさを増し、胸は大きくなります。もうボインボインです。……本当ですよ?  まあ、私の胸部の成長具合は置いておくとして。  とにかく、私は歳相応の成長を遂げました。  ……遂げてしまいました。  私が大きくなるのに比例するように、叔父さんの態度は段々と冷たくなっていきました。お父さんやお母さんが生きていれば、娘である私の成長をきっと喜んでくれたはずです。  だけど、私は叔父さんの娘ではありません。  叔父さんが引き取ったのはあくまで『幼い私』であり、成長してしまった私なんて穀潰しのような存在でしかなかったのでしょう。  私が小学生の頃は優しかった叔父さんも、中学生になるとどこか態度が冷たくなり、高校生になる頃には会話をしなくなっていました。それどころか、ここ数年は暴力まで振るうようになりました。
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