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トゥルリルリルリー
トゥルリルリルリー
明日鳥(ファーハ)の声が山の向こうから太陽を誘き寄せる。
誰かが大きな刷毛で色を塗っていくかのように、空は徐々に色づいてきた。
そんな幻想的なのに普遍的な空を今日も眺めている者がいる。
その空をもっとよく眺めるためか、真っ黒いフードをとった。
フードの下から、今、空を支配している太陽のような色の髪が現れる。
「さぁて、あともう少し。頑張るか」
そう太陽に向け言うとフードを深く被りなおし、森の先にある村へ足を進めて行った。
――――
――
「へぇ。ここがヒオウギかぁ」
真っ黒なコートを着ている者――アヒャナは見渡す限りの草原に抜けた声を出した。
鼻をくすぐる草独特の匂いに誘われ、寝転がる。
雲1つない青い青い空を鳥が優雅に舞っている。
アヒャナはひとしきり空を眺めると、草の匂いを味わうように目を閉じた。
一晩中歩いていた疲れが一気にアヒャナの身体を這っていく。
眠気に誘われたアヒャナは抵抗するまでもなく身を任せた。
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