回想Ⅰ

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いらなかったんだ。 そうか、必要とされてなかったんだ。 呼吸がしづらくなってくる 息がしづらい 空気て、こんなにも重かった‥? 胸の辺りが、熱く重くなって 頭がくらくらしてきた 「路深、お母さん  これから仕事だから」 「え‥‥?」 専業主婦だったお母さん。 最近は、昼間パートに出る時はあったけど 時計は19時を過ぎている‥ 「お父さん、いらないお母さんと路深には払うお金もないんだって。 勝手に生きて、勝手に死ねだって」 お母さんは、感情のない笑顔で 私が聞きたくない言葉を 重ね続けた。 「まだ死ぬわけにはいかないし。生きる為には、お金がいるから。」 何かを 言いたいのに 声にならない。 声が出ない。 立ち尽くす私に 「戸締まりは、ちゃんとしてね」 お母さんは、声を掛け出て行く。
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