*episode.2*

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 「入社して8年目の頃、キミの存在を知ったんだ。まだキミが入社して間もない頃だ」  「えっ…?それって6年前」  「そうなるかな。いつも、受付の前を笑顔で走り抜けてた。雨で濡れてる時も、暑さで汗だくの時も、寒さで震えてる時も。そんな姿を毎日見てたら仕事で行き詰っても何故か頑張れたんだ」  「…課長」  「あぁー、あの子は毎日外に出て営業頑張ってるんだって。俺は、一日中快適なオフィスの中で座って仕事が出来てることは当たり前なんかじゃない。あの子が頑張ってくれてるから、俺を含め幹部連中は座って仕事が出来るんだってね」  「…そんなこと」  「6年間、ずっと見て来たんだ。やっと同じ部署になれた。やっとキモチを伝えられるって思ったら、どんな仕事よりも緊張したりした。OKしてくれるまで何度でもプロポーズする。その笑顔を一生側で見ていたいんだ」
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