vol.1
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だからこそ、船団の指揮官が放送で、平素なら極力近づきもしない”恐怖の島”へ向かうよう全ての船に命じるのを聞いても、驚くことはなかった。 ”恐怖の島”は中央に高い塔の見える小島で、その周囲を隙間なく巨大な渦巻きが囲む。普通の船が入ったところで十中八九生きて出られることはないといわれていた。 だが、それでもこのまま戦うよりは生き残る可能性は高いだろう、とマリアも思った。それほどに状況は絶望的であった。
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