波の音

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4階にたどり着くと、僕の周りを一斉に囲む人物達の顔に驚いた。 自殺未遂など無かったような面々、顔は和らぎ、温かい何かを、皆持っていた。 「高橋 達也君って言うんだ?よろしくね」 どこからも僕の名前が飛び交った。 こんなこと初めてだ。誰かに注目されるなど、初めてだ… 「ほらあんまり寄るな、高橋が嫌がってんだろ?」 相田の声で、僕を囲んでいた人々は、力無き返事をしたあと、普通教室の広さがある部屋に座った。机も椅子も無い…床に座り、相田を見上げていた。 「高橋、教科書だ。」 相田から教科書を渡され、しばらく相田の話しを聞いたあと、休み時間なるものが訪れ、僕は部屋の隅っこで孤独だった。 「達也……君?」 聞き覚えのある声だった… その瞬間、あの日の思い出がまたもや頭によぎった。 波の音…彼女の笑顔… 僕はゆっくり顔を見上げた。 「恵……」
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