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屋上を後にすると、入り口にともき先生が腕を組み、壁に寄りかかっていた。
「これで良かったのか?達也よ…」
「ああ、あんた言っただろ?死ぬも生きるも勝手、死ぬも生きるも正解ってな‥」
僕は無理やり笑顔を見せた。
それを見て、ともき先生も笑ってくれた。
ザザー ザザー
と、あの日の思い出が蘇る。
あの日、恵は言った。
「決めた!私…死ぬときはあなたの目の前で死んでやる!」
「急にどうした?」
「好きな人の目の前で死にたいでしょ?だからこれから何十年も経ったら、あなたの目の前で
そこで一旦止まり、恵は笑って言った。
笑って死ぬの!」
そうだ忘れていた‥この笑顔だ。あの日の思い出は…この笑顔なんだ。
「ともき先生…これからも、よろしくな!僕、絶対死なないからさ!!」
その時、僕は今まで一番笑った気がした。
「そうか…最後に笑って死ねるといいな‥河合みたいに」
「ああ、そうだな‥」
僕はともき先生に背中を見せ、寝室に向かった。
僕の背中は大きく見えているだろうか…
そして布団に潜り込み
僕は…
そっと目を閉じた
すると
どこからか
波の音が聞こえた気がした。
完
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