桜蘭

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  テレピンを置き、現役の美術部員が飾っている絵を眺めながらひよりん先輩が言います。 「結局、恋は愛に遷移しますからね。衝動的な感情から、しなやかに続くそれへと」 「おおっ、ひよりん先輩おっとなー!」 「しかし私は処女なのです」 「今のは聞かなかったことにして下さい。何か申し訳ないです」 それはそれとして、私が考えてるのは良夜に避けられてることに関してです。 ひよりん先輩の男性経験の有無は必要ないでしょう。 「でも、何故いきなりそんなことを? 良夜くんは基本的に異性からのアプローチに応えないタイプのハズですよね?」 「それなんですけどね? むしろアプローチをさせる隙すら見せない感じになってるんです」 「例えば?」 「ボディータッチが出来ません。お風呂上がりの清潔な状態にしても、全く寄せ付けないんです」 「では良夜くんが臭フェチに目覚めたとか?」 「それは盲点でした!」 あり得ます……それはこの広い宇宙に地求人以外の知的生命体がいる可能性と同じくらいあり得ます! 宇宙人は実在するんです! 「なら今夜、良夜くんの部屋に靴下か下着でも置いてみて下さい」 「ラジャー」 その日の夜、私はこってり叱られました。  
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