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夜中の勉強には飴が必須だ。
空腹感がまぎれるし、気分転換にもなる。
何より、糖分を摂取することで、脳の活性化に繋がるのではないかと私は勝手に思い込んでいる。
いつもはこの『思い込み』でやる気を出すが。
今日は飴を食べてもなかなか気分は転換しなかったし、勉強が進まなかった。
親の言葉がいつまでも心の中で反復する。消えない。
父と母の表情が頭に浮かぶ。
親にかかる負担、つまり学費を少しでも抑えるために、こんなに難しい勉強をして国公立を受けるのに。
私は何のために勉強しているのか。
自分はなりたい?薬剤師に?
口の中で溶け、消えかかっていた飴を粉々に噛んだ。
…勉強、辞めようか。
そう思い、ノートを勢いよく閉じた瞬間、風が強く窓に吹き付ける音にまぎれ、かすかに別の音が聞こえてきた。
私は耳を澄ます。
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