オレンジ。

2/4
前へ
/4ページ
次へ
秋の夜風が窓を叩く。 私は薄いカーテン越しにかすかな肌寒さを感じた。 真夜中に大合唱していた鈴虫やらコオロギやらは、寝静まってしまったのか、外は風の音しか聞こえない。 私がシャーペンを紙の上ではしらせる音、ノートや教科書のページをめくる音が部屋に響く。 私は自分の部屋で勉強している。 大学受験の為だ。 家族はとっくに寝てしまった。 私の事柄を覚えられない苦労も、 問題が解けない苦しみも、 あの人達には分からないだろう。 私は昼間の親との口喧嘩を思い出した。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加