左之版

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『あ、雪村』 原田先生の授業が終わりかけた時だった。 「はい?.....原田先生」 『用があるから放課後、準備室に来てくれ』 「あ.....はい」 周りの女友達は一気にいいなぁとか色々言っ てるけど、私は心配になった。 さっき呼び出した原田 左之助は 私の担任兼恋人という、 幼馴染みの数人しか知らない秘密の関係。 そんな恋人が皆の前で呼び出したのだ。 なんかあったのか、不安になった。 そして放課後 コンコン 「失礼します。雪村です」 『お、来たか。入れ』 覗いてみたら、他の先生は居なかった。 つまり、二人っきり。 ちょっと緊張してきた......。 『どうした?入ってこないのか?』 「え、あ、はい」 慌てて適当な椅子に座る。 そうすると、左之助さんはドアに向かってい って........ カチャッ 「あの、原田先生.......?」 『原田先生?』 目は左之助と呼べといっていた。 「///左之、助さん//」 『良くできました。ご褒美、あげないとな。 なにがいい.....?』 そう言うと、迫ってくる左之助さん。 「え///あの、左之助さんっ?////」 『と、言いてぇところだが.......』 チラッと窓の外を見る。 「え.......?」 窓の外を見てみると、平助と総司先輩と クラスメートの女子たち。 『ちょっ!みんな声大きすぎだって!』 平助、確かにみんな大きいけど 平助が一番大きいよ。 総司先輩までいて、悪い予感がする。 『まったく.....あいつらは』 それは、とても暖かくて。 左之助さんは先生なんだな、と思った。 『おっと、忘れるところだった。ほら』 左之助さんが取り出したのは、カギ。 「え、なんのカギですか?」 『車のカギだ。 一緒に帰れる日はそれで開けて車で待ってい てくれ』 「あの......二つあるんですが......」 『これが車のカギ。 もうひとつは部屋のカギだ』 「へ、部屋ですか......?」 『ああ。千鶴は彼女だし、なにかと便利だろ ?』 「べ、便利ですか......」 『朝ごはん作ったり、掃除したり、話したり 、呼び出したり、 ヤったり、な』 最後だけ強調して言う。 きっと私の顔は真っ赤だと思う。 「左之助さんっ///もうっ///」 『さてと、帰るか。千鶴』 左之助さんに名前を呼ばれただけで 嬉しくなる私はきっと、もう。 次の日、総司先輩にしつこくからかわれ 平助は目が合うと慌て出し、 クラスメートの女子からは含み笑いをされ、 ため息をつく千鶴が居た。
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