第1話

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1998年、東京。 ある一軒家に一つの家族が住んでいた。 その家は2階立てで、灰色のタイル壁に黒い屋根を携えた普通の民家で、一家族が住むには十分な大きさだ。 そしてこの物語は、この家の2階から始まる……。 「ふわあ~ぁ」 少女は大きなあくびをして、その寝ぼけ眼で天井を見つめた。 (起きなきゃ)とは思うものの、それに反して体をなかなか起き上げることができない。 それどころか、再度眠気が襲ってくる。 「うぅ……今何時……」 無理矢理頭を動かし、右側に置いてある赤いベル型の目覚まし時計を見た。 「7時半……少し前か……起きよ……」 彼女は目覚ましをいつも7時半にセッティングしている。 つまり、今日は目覚ましが鳴る前に起きたのだ。 「ふわあぁ……ンックッ」 大きなあくびをしたあとに左右1回ずつ首を捻る。 こうすることで、彼女は目が冴えるのだ。 「着替えよっと」 彼女はベッドから立ち上がり、右前にあるクローゼットへ向かう。 薄めの水色のパジャマを上下脱ぎ、脱いだものを軽く畳んでベッドに投げた。 そしてまずはクローゼットから掛けてあるプリーツのスカート、つまりセーラー服のスカートを取り出し穿く。 次にスポーツブラで膨らみかけの胸を覆い、セーラー服の上を着た。 今は6月なので、半袖の夏服である。
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