君が望むなら

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俺には新しく家族が出来た。 「マサトさん!アルバム見ていい?!」 「いいよ」 死んだ姉の息子をつい最近引き取ったのだ。 こいつは自分の父親の再婚から人生を狂わされてひとりで頑張っていた。 俺に偶然出会わなければ今でもそうだったかも知れない。 「やっぱ。母さん綺麗だよね。なんで俺子の顔なんだ?」 「2人のいいところ取り過ぎた結果が平凡になったんじゃねぇか?」 「意味分かんないし」 良くヒロキはアルバムを見る。 元居た家に姉貴の写真が一枚もなかったかららしい。 「あ、これって」 「ん?」 ヒロキが急に声を出し俺は指さされた一枚の写真を見た。 そこには、金髪やら茶髪やらの色とりどりの不良達の中に姉貴と小さな子供がいる写真だ。 ヒロキの鮮明な記憶の中じゃちゃんとした俺だもんな。 「それは初めて俺と会った時の写真だな。覚えてるか?」 「さぁ…って、どれ」 「これ。このガン飛ばしてるの」 指さして自分でうわぁと思ってしまう。金髪のウルフカットでアクセサリーじゃらじゃらの男が自分とは。 そう言えば、懐かしいな。
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