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そう思った、俺はその日図書室に初めて入った。
静まり返った室内。
本棚が多くあり死角も多い。
奥の方、西側辺りに行くと夕日の光が周辺を照らしていた。
その照らしている窓の一番端の柱は丁度いいほど心地よかった。
死角で見えないし何より静か。
だれも来ない。
俺は基本本を読むのも苦ではないしその日からここに通う事にした。
図書室に通うのが日課になり始めた頃のことだった。
いつものように定位置の西の端の窓の柱の所へ行こうとしたら、カタリッと小さな音がし足を止めた。
誰か居る。
折角見つけた所なのに。
俺は静かにその音の方へ向かう。
追い出そうと思って。
近づいて行くと、キィっと音がした。どうやら椅子に座ったみたいだ。
本棚の陰から人物を確認する。
そこには、評価できないほどの平凡な一般生徒がいた。
小さな体型の俺とは違う純日本人と言うくらいの真っ黒な髪。
そいつはひとりで黙々と本を読んでいた。
俺に気が付く事もなくただ黙々と本の世界に入っているみたいに。
追い出す気がなくなってしまった。
まぁ、俺の邪魔しなきゃ良いか。
そう思って今日の所は見逃し定位置に俺は行った。
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