5人が本棚に入れています
本棚に追加
あの二人がこの村へ辿り着いてから2日。
何かの巡り合わせか、この村には、今はもう使われていない無人の教会が在った。
村に着くなり、神父は体調を崩した修道女を休ませるため、どこか静かな場所を借してもらいたいと乞い、村人達は迷う事なくこの教会をすすめた。
「貴女、カートンさんの話は聞いた?昨夜ですって…」
「ええ…不治の病だったそうね…。でも良かったわね、神父様に祈って戴けて…」
一週間。
ここへ来て初めて、
修道女が一人で姿を見せた。
暗い森の入口に立ち、一人で何か呟いているのを村の少年達が見つけたのだ。
教会から時折聞こえる不気味な笑い声。
日に日にやつれていく神父の姿。
そして、
相次ぐ村人の死。
おかしいとしか言い様のない出来事に、村人達の不安は募り…
それは全てあの修道女へ向けられた。
この日、
少年達が怯えて逃げ帰ったその後。
修道女は冷たく、光のない瞳で空を見上げていた。
「もう来たの…脅かし過ぎよ。木霊まで逃げてしまったじゃない…。…解ってる、ただの遊びよ。私は、逃げも隠れもしないわ…」
彼女の声は低く、
風の中へと静かに
消えていった─…。
最初のコメントを投稿しよう!