6人が本棚に入れています
本棚に追加
「黛さーん。お客さんー。」
クラスの女子が私を呼ぶ。
「誰ー?」
「男子の二人組…」
「帰ってもらって。」
私は即答した。
「えっ…でもなんか大事な用らしいから…。」
ガタンッ
スタスタ、スタスタ。
「なんの用?」
私の半径1メートル以内には男は入れない。入ったらひどい仕打ちをくれてやる。
念の為に予備線として男子からあと1メートル離れて話した。
「大事な用って何?」
「あぁ。あれ嘘。世良ちゃん今日どこか俺らと遊びに…」
「却下。早く自分のクラスに戻りなさい。」
「そんなこと言わずにさ…。」
男子は私に近づいてくる。
ギロッと睨んでもきかない。
「いいじゃんちょっとぐらい。」
ついに私の半径1メートル内に足を踏み入れた。
ガッ!
「いってぇぇ!」
私はかかとで男の小指らしきところを思いっきり踏んでやった。
「私の半径1メートル以内にはいらないで。気やすく名前をよばないで。二度と私の視界にはいってこないで、さっさと保健室にいきなさい。」
ちっ。
男は、舌打ちしてスゴスゴと保健室へいった。
「すごいね。世良ちゃんの男嫌いって。私達にはあんなに優しいのに…。ねっ、美希ちゃん。」
「うんうん、ホントだよねぇ。って理央、今日世良にメイク予約してたんじゃないの?もう昼休みおわるよ?」
鷹野理央(たかの・りお)
今年転入してきたばかり。
この子ももう世良の常連さん。
「えっ。あっ!あわわゎゎ、ど、どうしよう。後8分しかない!」
「大丈夫。世良なら5分でメイクしてくれるから、はやく行っておいで~。」
もちろん事実。
本当に世良は凄腕。
「ほんと?は、はやく行かなきゃー。世~良~ちゃ~ん!」
パタパタ、パタパタ。
最初のコメントを投稿しよう!