BARIA~世良のメイク~

2/2
前へ
/12ページ
次へ
「黛さーん。お客さんー。」 クラスの女子が私を呼ぶ。 「誰ー?」 「男子の二人組…」 「帰ってもらって。」 私は即答した。 「えっ…でもなんか大事な用らしいから…。」 ガタンッ スタスタ、スタスタ。 「なんの用?」 私の半径1メートル以内には男は入れない。入ったらひどい仕打ちをくれてやる。 念の為に予備線として男子からあと1メートル離れて話した。 「大事な用って何?」 「あぁ。あれ嘘。世良ちゃん今日どこか俺らと遊びに…」 「却下。早く自分のクラスに戻りなさい。」 「そんなこと言わずにさ…。」 男子は私に近づいてくる。 ギロッと睨んでもきかない。 「いいじゃんちょっとぐらい。」 ついに私の半径1メートル内に足を踏み入れた。 ガッ! 「いってぇぇ!」 私はかかとで男の小指らしきところを思いっきり踏んでやった。 「私の半径1メートル以内にはいらないで。気やすく名前をよばないで。二度と私の視界にはいってこないで、さっさと保健室にいきなさい。」 ちっ。 男は、舌打ちしてスゴスゴと保健室へいった。 「すごいね。世良ちゃんの男嫌いって。私達にはあんなに優しいのに…。ねっ、美希ちゃん。」 「うんうん、ホントだよねぇ。って理央、今日世良にメイク予約してたんじゃないの?もう昼休みおわるよ?」 鷹野理央(たかの・りお) 今年転入してきたばかり。 この子ももう世良の常連さん。 「えっ。あっ!あわわゎゎ、ど、どうしよう。後8分しかない!」 「大丈夫。世良なら5分でメイクしてくれるから、はやく行っておいで~。」 もちろん事実。 本当に世良は凄腕。 「ほんと?は、はやく行かなきゃー。世~良~ちゃ~ん!」 パタパタ、パタパタ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加