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BARIA~世良のメイク~
――学校の昼休み――
今日も女子が私の机を囲む。
少し時間がたったあと、また一人私の机にやって来た。
「世良~。今日メイクお願い!」
私は黛世良(まゆずみ・せら)
皆私にメイクしてもらいにくる。
「今日の予約はもう終わったからいいよ。そこに座って。」
いつもの常連客、橘美希(たちばな・みき)は予約が終わる時間をねらって週3で私にメイクを依頼する。
「ありがとぉ。今日も彼氏とデートなんだ~!」
美希の顔は綺麗でやりやすい。
「あぁ。じゃあ今日も光輝君の好みのセクシー系?」
「ううん。今日は私に合うメイクをして!光輝にセクシー系は美希には似合わないからって言われちゃって…。」
松内光輝…(まつない・こうき)結構鋭い。確かに美希にセクシー系はベストじゃない。どちらかといえばキュート系が似合う。
「なんかムカつく。」
個人的に。
「だよね!だから光輝を見返すためにも、その世良様の神のメイクを私に授けて!」
「なんなのよ、様だの神だの。心配しなくても光輝君が美希に惚れ直すようなメイクをほどこしてあげるから。」
「クゥ~。こんな素晴らしいお友達持てて、私嬉しい!」
そのセリフ、メイクするたびに言われるんだけど…。
「よし!できた。」
「えっ。もう?いつもより早くない?手抜きはやめてよ?」
美希、わかってないなぁ。
「私は依頼に手を抜かない!美希に合うメイクでしょ?美希は、肌綺麗だし。目、二重でデカいからホントはアイシャドーとカラーリップだけで十分なんだけど一応、マスカラもしてあげたの。美希に合うメイクはこれでも多いほうなの!わかった?」
あぁ、長々と語ってしまった。
「う~ん。なんとなく。」
「そっか。」
無理もないかも。
「けどこっちのも可愛いかも!ありがと!世良。」
「どういたしまして。」
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