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ちぃちゃんは。
「でさ――」
と、何でもないように話を戻しにかかった。
「しぃちゃんは、どうやったらクリスマスを倒せると思う?」
「うーん……」
僕はうなった。もちろん『クリスマスの倒し方』を考えようとしたから、ではない。そもそもな話――それはいつものことだけれども――ちぃちゃんの言っていることが、その脈絡が全く分からなかったからだ。
「えっと――ちぃちゃんは、何でクリスマスを倒したいの?」
「え?」
僕の疑問に対して、ちぃちゃんは、心外とばかりにその大きくてまん丸な目を更に見開いた。『何でそんなことを訊くの』ではなく、『そんなことを訊かれるとは思わなかった』という思いが、ありありと伝わってくる。
「だって、クリスマスだよ、しぃちゃん。しぃちゃんこの間言ってたじゃん。クリスマスって『子どもがサンタからプレゼントを貰う日』なんだよ、って。でもおかしいよね。わたしたちも子どもなのに、プレゼントなんて貰ったことないよ。サンタさんは、どうして他の子にはプレゼントを上げて、わたしたちにはくれないの? そんなのおかしいよね。わたし知ってる。そうゆうのは、差別っていうんだ。そんなことするクリスマスなら、わたしいらない。だから倒す!」
「ふうん、なるほどー。でもちぃちゃん。それなら倒すのはクリスマスじゃなくて、サンタじゃない? 差別しているのは、サンタの方だよ」
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