‐流転‐

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 そんなシャルロットを加えた一族は、漂泊の民だった。  正体を隠すためであり、近代化に伴って情報の氾濫からそうした生き方はますます必須となったが、それでも彼らにとって戦時中はまだ暮らしやすかった。  ヴァンパイアの身体能力は常人を遥かに凌駕するので、対人兵器など驚異でないし、対吸血鬼用の攻撃方法でさえなければ殺されることもなく、どんな重傷でもたちどころに回復する。人間であったときに現在身を置く国に敵対している人種だったかどうかにさえ気をつければ、混乱のさなかどこにいようがたいして目立つこともなかったのである。  このため二度の世界大戦が終わると、彼らはさらに慎重に流浪の民族として生活せねばならなくなり、ロマや遊牧民に紛れ各地を点々とするはめになったのだった。
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