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「改めてよろしく」
空人が言うと、それに合わせてクリオももう一度小さく頭を下げた。
すると誉は、しげしげとクリオの顔を見つめてから、「あんた、目が青いんだね~」と言って微笑む。
クリオの青い瞳がよほど珍しいと見え、誉は興味深そうにクリオの顔を覗き込んでいる。
しかし、クリオは不機嫌そうな表情を浮かべると、「お前、初対面の人間に向かって“あんた”って、失礼じゃねぇの? それに、俺、あんたより年上なんだけど」と吐き捨てるように言う。
するとすぐに廣幸が、「すみません。こいつに悪気はないんです。許してやってください」と冷静な様子でフォローを入れる。
「ごめんなさい」と誉もすぐに申し訳なさそうな顔で詫びた。
その隣で、一樹は今にも泣きだしそうな表情でそのやり取りを見ている。
「まあ、いいけど」とクリオが少し不貞腐れた様子で言った。
すると、空人が相変わらずの笑顔を浮かべたまま、「まあ、クリオくんも年上だといっても、たいして違いはないんだから。だって、君は二十歳でしょ?」とフォローを入れる。
「まあ、そうだけど。だから、もういいってば」
クリオはそう言って、何事も無かったかのように笑った。
「ところで、空人さんは何歳なんですか?」
今まで泣きそうな表情を浮かべていた一樹が、笑顔を浮かべて言った。
「ボク? ボクは二十六歳だよ。この中では一番年上だね。だって、君たち三人とも高校生でしょう?」
「ええ、そうです」
一樹が答えた。
「しかし、君たちが来てくれて本当によかったよ」
空人はホッと胸をなでおろす真似をしながら言う。
「どうしてですか~?」
今度は誉が言った。
「実はね、さっき、ここにいるクリオくんに襲われそうになっちゃって……。危うくキスされちゃうところだったんだよ」
「ええっっっ!! 本当なんですか!?」
誉と一樹が目を丸くして、声を合わせて言う。
「嘘に決まってるだろう!! 空人、変なことを言うなよ!!」とクリオが血相を変えて反論した。
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