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「嘘じゃないだろう? さっき、ボクにキスしようとしたじゃないか」
空人がクリオを見ながら、ニヤリと笑って言った。
「だから、あれは違うだろっっ!!」
クリオは必死に反論するが、そんなことはお構いなしの様子で、空人は言葉を続ける。
「いや、あの時のクリオくんの目は相当ヤバかったよ。君なんか女の子みたいで可愛いから、気を付けた方がいいかもしれないな」
空人がそう言って一樹を人差し指で指すと、一樹はクリオから距離を取るように、少し身体をずらした。
「だから、違うんだってばっっ!! 空人が俺をからかって、気を失ったふりなんかするから、慌てて、人工呼吸しなきゃってなっただけだっっ!!」
クリオがさらに必死に抵抗する。
そんなクリオの様子を見て、空人は可笑しそうに笑った。
一樹は疑わしそうな目でクリオを見てから、空人の方に視線を移し、「クリオさんの言っていることは本当なんですか?」と言う。
「さて、どちらを信じるかは一樹くん次第だよ」
空人は笑いながら答えた。
その隣で、クリオがバンバンと激しく水を叩きながら、「ちゃんと肯定してくれっっ!!」と訴える。
空人は可笑しそうに腹を抱えて笑うと、「あはは、冗談だよ。クリオくんの言っていることが本当だよ」と、ようやくクリオをからかいの嵐から解放した。
「よかった、ホッとしました。僕はそういう趣味はないので、襲われたらどうしようと思うと怖くて」一樹はそう言うと、ホッと胸をなでおろすような仕草を見せた。
「だから、襲わないってば!! 俺だってそんな趣味はない!!」
クリオが必死に訴える横で、空人は、「わかったから、落ち着いて、クリオくん」とクリオをなだめるように言った。
「つか、もともとは空人さんのせいなんじゃ……?」
そのやりとりを見ていた誉が思わず突っ込む。
すると、空人は「そのとおり」と嬉しそうに言い、「クリオくんはからかいがいがあるんだ」と笑いながら言った。
その言葉に、誉も一樹も思わず吹き出した。
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