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それで病院につくなり、俺は走って病室に行った。看護婦さんに注意されるのも聞かずに。
息を切らし、病室の名前を見る。
そこに花夜の名前があった。
俺は部屋に入った。
すると部屋には母さんが来ていた。
「進一…」
花夜を見れば酸素マスクをして、包帯もしている。
かなりの重傷と見た。
「花夜は…!?」
「すぐに臓器移植が必要です」
いつのまにか医者が後ろにいた。
「移植って…」
「内蔵が破裂しているんです」
かなりの重傷だ。
そこまでして人を助けたかったのか。
「進一、母さん…仕事だから…」
俺は耳を疑った。
娘の窮地に仕事で退室するなんて、親のやることじゃない。
「待てよ。花夜は…」
「父さんも待たせてるし…」
拳をにぎりしめた。
母さんはこんな人だったんだ。
こいつは、こんな奴だったんだ。
「進一も遅くならないうちに…」
「先生!俺の内蔵を使ってください!!」
「進一!!」
あいつが呼びかけるのなんて気にしなかった。
だが先生は苦い顔をしていた。
「聞けば、君は血が繋がってないそうだね。
血の繋がらない人は…だから、お母様かお父様の…」
「冗談じゃない!」
そう言い放ったのはあいつだった。
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