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「だれが…この子のためにメスなんていれるもんですか…」
「いい加減にしろよ!」
俺は胸倉を掴んだ。
憎い。
この女が憎い。
「自分が思うように産まれてこなかったからって…花夜は…花夜は、お前の血の繋がった娘だろうが!!」
泣きながら訴えた。
うろたえる母。
俺がこんな事言うなんて驚くだろうな。
そういえば父さんは来てない。
あぁ、送るだけ送って見捨てたのか。
くそくらえだ。
「なんでだよ…なんで花夜だけがこんな目にあうんだよ!!」
俺は崩れるように床に膝をついた。
その瞬間、頭に過ぎる龍に乗っている女性。
女性が俺を見下ろして泣いている。
この女性も俺と同じ思いをしているのか。
すると、ピーッと高い音が鳴った。
目をやると、モニターに映し出される、"0"と言う数字。
俺は言葉を失った。
おぼつかない足で花夜の所へと行く。
花夜の手を握る。
花夜の手が冷たくなっていた。
「花夜…?花夜!!」
肩を揺すり、花夜を起こす。
起きないだろうけど、もしかしたら起きるかもしれない。
いつものように笑ってお兄ちゃんとか言うかもしれない。
でも、
「……午前11時23分、深い眠りを確認しました」
俺はその言葉でどん底に落とされた。
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