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「え、常翔高校から推薦?」
「あぁ、スポーツ推薦でな。
なんでも、大会の時のお前の活躍を見た向こうの高校が是非、お前が欲しいって」
俺は舞い上がるような気持ちだった。
常翔高校と言えば、サッカーが強く全国大会に出場している強豪だ。
そんな学校から推薦が来るなんて…!
「返事は別にいますぐ…」
「行かせてください!」
俺は勢いに任せて少し興奮気味に先生に言うが、先生はあまりいい顔をしなかった。
「でも、お前第一志望の高校はどうするんだ?」
あ…っと勢いが冷める。
第一志望の高校は母さんが進めるから行く事にした。
ちょうど学力を足りてるし、私立だから大学にも入れる。
「清浄学院は確かにいい選択だと思うんだけどな……」
サッカーがなく、部活はあまり盛んじゃない学校。確かに世間の評判はいい学校だが、楽しみが全くない。
「やっぱり、少し考えさせてください」
「そうだな」
気を落としながら職員室を出た。
扉の前でため息を零す。
サッカーがしたい。
けど母さんの言う通りにしないといけない。
母さんは今まで、よそ者の俺を育ててくれた。
その恩返しに母さんが望む学校に行かないと。
それ以前に、俺は……。
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