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夕暮れに染まるコンクリート。
壁がオレンジ色に染まり、少し濁って見えた。
人通りが少ない道。
俺は夕方のこの道が好きで、いつもこの道を歩いて帰宅していた。
途中で、公園がある。
たまに公園にあるベンチに座りながら、サッカーをしている男の子達を見るのが大好きだ。
無邪気にボールを追いかける姿は、輝いていてサッカーが好きなんだなって思う。
「危ないっ!」
公園の入口に差し掛かった時、ボールが俺に向かって飛んで来た。
誰かの声が耳から通りすぎ、俺は頭を少し動かして最低限の動きに留めた。
顔のギリギリにボールが過ぎ、壁に跳ね返って俺の足元に転がる。
「あ、お兄ちゃん」
転がるボールを見ていると見知った長髪の黒髪で制服姿の俺の義理の妹が公園の中にいた。
さっきの声は妹だった。
「花夜」
血が繋がっていなくても花夜との仲は良かった。
本当の兄の様に接してくれる。
だから、俺も花夜を本当の妹の様に接していた。
「お姉ちゃん、この人だれ?」
「お姉ちゃんのお兄ちゃんだよー。
お兄ちゃん、ボール取って!」
サッカーをしている子供たちと一緒にいた花夜。
俺は言われた通りにボールを子供達に向かって軽く蹴る。
「そこに突っ立ってないで!ほら!」
強引に手を引っ張って子供達の前に立たせる。
「この人、特技はサッカーなんだよー!
一緒に教えてもらおっか!!」
「おい、花夜。俺、早くかえらないと…」
花夜に無理矢理ボールを渡される。
俺に拒否権はないみたいだ。
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