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「頑張る!!」
最後に男の子の背中を叩くと俺はベンチに座った。
「……なんだかんだで面倒見がいいじゃん。
嫌々やってたくせに」
「うるせーな…」
少し嫌味っぽく言う花夜。
たしかに、最初は嫌だったがまんざらでもない。
「あ、もうこんな時間。皆ー!そろそろ帰らないとお家の人が心配するよー!!」
公園の時計を見れば時刻は五時。
確かに、そろそろ帰らないといけないな。
「さて…私達も帰るか」
「……」
立ち上がる花夜。
家に帰ると言う事は、花夜にとって過酷な事だ。
「花夜……」
「なに?そのしんみりとした顔しちゃって!」
背中を叩かれるが、どこか弱々しい。
本当は帰りたくないはずだが、帰らなければならない。
「お兄ちゃんお姉ちゃん、バイバイ!」
花夜は笑顔で手を振る。
複雑だ。
よそ者の俺が、何故花夜より歓迎される。
家に帰れば、逆に花夜がよそ者扱い。
花夜は母さんに虐待されていた。
花夜は気付いてないかもしれないが、袖から痣が見える。
これも虐待のあとだろう。
俺が虐待されてると気付いたのは家に来てから二年経った時。
いつどこで虐待されているかわからない。
だが俺は見てしまった。
リビングで花夜を殴りまくる姿を。
花夜はただ黙っているだけ。
そりゃ気付かないはずだ。
でも、俺は弱虫で止める事が出来ず部屋に戻った。寝ないで花夜が自分の部屋に帰ってくるのを待った。
しばらくすれば泣きながら部屋に帰った花夜に俺は急いで花夜の所に駆け寄って、花夜と一緒に寝た。
花夜を守るように。
それから、花夜と一緒に寝る事が多くなった。
そうすれば母さんは花夜を傷つける事はできないと考えたから。
でも、母さんは俺がいない隙に花夜を傷つけた。
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