my sister

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俺が来る前の事は知らない。 よほど酷かったのか。 「お兄ちゃんがいるから大丈夫! しかも、最近殴られてないし!」 嘘をついた。 じゃあ、その痣はなんだよ。 殴られてるじゃねぇか。 俺は花夜を守れてない。 気付いたからこんな事を言ってるんだよ。 嘘をつかないでくれよ、花夜。 俺にお前を守らせてくれよ。 「……なら、いいよ」 ここで問い詰めても花夜は嘘を貫く。 なら、今はその嘘に乗るよ。 「ほら、帰ろう!」 繋いだままの手を引っ張って一緒に帰る。 俺は、母さんの言う事を聞いてなるべく機嫌をとる事しかできない。 下手に止めれば逆に傷つけてしまう。 高校は諦めよう。 花夜のために母さんの言う事を聞こう。 それが花夜を守る事。 あぁ、俺になんで花夜を守れる力がない。 運動神経がよくても、本当の俺は弱く弱虫だ。 花夜、ごめんな。 俺はお前を守ると言っておきながら出来なかった。 あの嘘を貫いたせいなのか? なぁ、花夜。 答えくれよ。 花夜。
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