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「その代わりと言ってはなんだが、送る世界に対応出来るように、翻訳機能と、その世界の必要な知識を渡しておく」
そう言うと神様は俺の前頭葉の部分を鷲掴みにした。
次の瞬間、次々とその世界に関する情報が入ってきた。感覚としては沢山のアイディアが溢れ出てくる感じだ。
そこの中に一つ、不思議な内容を見つけてしまう。
「魔法?」
送られてきた情報の中には確かにそう言った類の情報が含まれていた。召喚獣やら魔力やら、まるでRPGのようだ。
「お主がいく、ベアトリアには科学の代わりに魔法が栄えている。そのせいか、世界は争いが耐えないのだ」
「となると……俺の世界には魔法なかった、魔法使えないので怪しまれないでしょうか?」
「いや、魔法ならあるぞ」
神様は口角をあげて不気味に笑った。
「お前には【数】という魔法がある。お前の力を十分引き出してくれる力だ」
それが、どんな魔法でどんな効力を持っているかは分からない、それに今までそんな魔法を使った事など無い。
「いやいや、それ冗談ですよね?」
「そう思うのか?」
これまた神様はニヤリとおれを嘲笑うかのように笑みを見せた。
神様は紅茶を今度は音を立てずに飲む。吊られて俺もカップを口に運ぶ。
「まぁ、向こうに行けばわかる事じゃ。どうせここでは試しようがない」
なんだがガッカリだが、まぁ良いだろう。どの世界にもルールがある。例え死後の世界だとしても。
「さて、そろそろ行くか?」
神様は勢いよくカップの中の紅茶を飲み干してから言った。
「最後に、家族を見せてくれませんか?」
最後くらい、忘れないように見ておきたい。それくらい、許してくれないだろうか……
「……いや、ダメだ」
「なんで!?」
神様の答えに納得いかず、ガラステーブルを思いっきり叩きつけてしまう。加えて敬語だった話し方も威圧する感じになってしまった。
「……お主が、儂の期待通りの仕事をしたならまたあの世界に戻してやろう」
それが、神様の最後の言葉であった。それを聞いた直後、猛烈な睡魔に襲われその場に倒れこんでしまった。
それは、俺が榎本 柚木、本人である最後の瞬間でもあった。
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