φ(空)の器

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「ん?何だこれは?」 「不思議な……文字?ですかね?」 ギルドマスターと受付嬢さんは水晶に浮かび上がった不可思議な文字を見て首をかしげていた。 だがその「不可思議」と言うのは俺以外のこの世界に住む人達から言わせればの事である。 その表示された物と言うのは、まるで数学Aで習う時に使ったような便宜上の図が現れていた。 φ(ファイ)の記号の集合の中に描かれた、αMの文字。 空集合の中に、何らかの要素がある。これは数学上ではあり得ない事である。 「これは……どう言う事だ?」 「君も始めて見るのかね?」 ギルドマスターは、俺もこの結果を知らなかった事に少し豆鉄砲を食らったらしい。 「はい……」 正直にそう答える事しか出来なかった。俺の頭の中でもこの図が何を意味するのか分からない。 ただφ(から)の器は俺自身を示しているのでは無いかと、頭では感じ取っていた。
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