18人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「……そうやっていつも人の意識を別の方向に持って行くのか?」
「戦闘データ云々のことか? それはいったいなんなんだ?」
「新種で致死率の高いウイルスの蔓延と、人を襲う生物……。こんなことが重なるなんて偶然とは考えにくい。それに、ライフルの扱いになれているのはさっきのでわかった」
女はパンを食べながら言う。
「襲撃された避難所から脱出できたことといい、あなたは怪しすぎる!」
「お前だってライフルを持ってるじゃないか。同じようなもんだろ」
「違う。私は治安維持部隊の生き残り。暴動や襲撃で仲間は死んだ。何人かは生き延びたが、離れ離れ……」
直樹は地図を広げる。
「よくわからんが、とりあえずお前が移動した範囲で、人が居なかった場所にバツ印をつけてくれないか? それと、現在位置も教えてもらえると助かる」
女は警戒しながら地図に印をつけていく。現在位置近辺は全てバツ印をつけられた。
「ただし、さっき学生を見かけた。探せばまだ近くに居るかもな」
生きていたらの話だが……と付け加えながら、女は走り去る。
最初のコメントを投稿しよう!