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『ギター、触ったことある?』
俺は壁に立てかけたギターを手に持って紗那に訊いた。
『ない。』
『持ってみ。』
そしてギターを差し出した。
紗那はそれをぎこちなく受け取り白く細い指で弦をなぞった。
俺は…
そんな紗那の指に なぜだか見とれてしまった。
ハッと我に返り、俺はギターの持ち方を紗那に教えた。
そして紗那がちゃんとわかるように、一からゆっくりと教えていったんだ。
紗那も夢中で ギターを触りながら小さくて細い手を一生懸命に動かそうとしていた。
初めから上手くなんてできっこないんだけど…。
そんな一生懸命な紗那を 俺は盗み見るように何度も何度も見ていたんだ。
紗那はまったく気づいていなかったけど。
俺の心臓はずっと、どきどきしっぱなしだった。
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