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アパートが見えるところまでたどり着き 俺は息を切らしながら足を止めた。
紗那は… 待っていなかった。
フッ…
やっぱりな。
俺は今朝から浮かれっぱなしだった俺自身を鼻で笑った。
俺は一体、何をやってるんだろう。
俺よりも 多分ずっと年下の女の子に振り回されて 勝手に浮かれて。
言い様のない虚しさのようなものがこみ上げてきて 俺は小さなため息をついた。
それから力なくアパートの階段を上がった。
途中で2軒隣の部屋のおっちゃんが上から下りてきてすれ違った。
なんだか知らないけど おっちゃんが俺の顔をジッと見てきたから 俺は頭をペコっと下げた。
おっちゃんはそんな俺にニヤリとして残りを駆け下りていった。
なんだよ…。
不愉快に思いながら階段をいちばん上まで上がったところで俺はおっちゃんがニヤリと笑った意味を理解した。
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