ハルのお仕事。

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「アキがちんたらしてるのが悪い」 あたしはアキジュを気にするでもなくさっさと先を急ぐ。 「『ちんたら』ってどういうタラ? 美味しいの?」 ズコッ! あたしは情けない効果音と共にずっこける。 この子は天然なのではなく、世間知らずなのだ。 アキジュは国王の一人娘。 つまり王女様。 何で王女様がこんな森の中にいるかというと……。 城を抜け出し城下へでたけど帰れなくなったという。 『大きな迷子』。 たまたま酒場で会った、アキジュが……。 「びゃああっ! おねぇさぁぁん! オウチに帰りたいですぅ~!」 ……って泣きついてきて、事情を聞いて城へ送る事にしたのよ。 何で酒場で泣いていたかは不明。 そして何であたしに泣きついてきたのかも不明。 本人曰く……。 「迷い込んでしまって怖い人ばっかで……助けて下さぁ~い」 との事。 半ば意味がわからず送ってる。 不思議ちゃんすぎる。 まぁ、このアキジュが『箱入り娘』だった事は安易に推測できる。 アキジュ王女失踪が公になってないのは、きっと騒ぎを大きくしたくなくて極秘で捜索してるんだろうね。 あくまでもあたしの憶測に過ぎないんだけど。
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