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『アキジュ王女』ってのがばれないようにあたしは『アキ』と呼んでいる。
色々と面倒臭いけど……。
まぁ、後から王様にガッツリ報酬もらうけどね。
ふふふ……。
「ハルさん、ハルさん。
何笑ってるんですぅ?」
アキジュがあたしの顔を覗き込む。
「いや、ははは!」
やばっ!
顔に出てたわ。
アキジュにばれないようにしなきゃ。
「きゃああっ!」
突如、アキジュが叫ぶ。
「どうしたの!
アキ!」
あたしは慌てて後ろからついて来てたアキジュの元へ引き返す。
「このお花綺麗ですぅ~」
アキジュは座り込んで呑気に小さな野花見つめている。
どしんっ。
またあたしは思いっきり突っ伏す。
「……ってて。
たく、道草……じゃなくて道花くってないでさっさと行くわよ」
パタパタと服をはたきながら、あたしは先へ進む。
「きゃあああっ!」
またもやあたしの後ろでアキジュが叫ぶ。
「もう!
いい加減にしてよ!
あたしはベビーシッターじゃないんだからね!」
イライラしながらあたしは振り返る。
「ハルさぁぁ~ん。
しくしくしく……」
しくしく泣いているアキジュ。
何と青白い肌をした気持ちの悪い魔物に捕まっているじゃないか!
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