ハルのお仕事。

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「お前の生き血を吸ってやる!」 血を吸うですって? コイツはバンパイアなのか? でも、昼間に普通にいるし……。 合成獣……ってとこかしら。 「ハルさ……ん」 相手を探っているあたしに、アキジュは心配そうに話しかける。 そうよね。 今はコイツを倒す事を考えよう。 キンッ! 一瞬のうちにあたしは魔物の懐に飛び込む。 「……切り刻むわよ」 魔物の喉元に短剣をつけ、脅す。 「うわぁっ!」 怯んだ魔物は尻尾を巻いて去って行った。 何て意気地無しなんだろう。 でも、あたしにとっては好都合だ。 無駄な殺生はしたくない。 生きとし生けるものは平等に生きる権利があるのだから。 それにあたしは戦士ではない。 冒険家なのだから。 「雑魚が。 大丈夫? アキ?」 あたしは倒れているアキジュを助け起こす。 王女であるアキジュが怪我でもしたら、報酬どころの話ではなくなる。 くわばら、くわばら。 「うん。 ありがと」 パタパタとスカートの汚れをはたきながらアキジュはあたしに礼を言う。 「最近よく絡まれるから先急ごう」 先を急ぐ事をアキジュに促し、あたしは先程と同じようにアキジュより先に歩く。
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