ハルのお仕事。

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「無理よ」 あたしはアキジュの顔見ながらきっぱりと否定する。 「そんな頭ごなしに言わないで下さい……」 そう言うとアキジュは下を向き悲しそうな顔する。 「アキは優しいから剣を振れない」 アキジュの頭に手をのせあたしは言う。 「じゃあどうすればいいのですか?」 アキジュは上目遣いであたしを見る。 「その為に兵士やあたし達がいるんだよ。 あたし達を頼っていいんだよ」 がしがしとあたしはアキジュの頭を撫でる。 まぁ、あたしは兵士でも戦士でもないけどこの際いいや。 『戦う万屋』も悪くないしね。 「ハルさん……」 アキジュの目からぽろぽろと涙が流れてきた。 「アキはアキでいればいい。 強がる必要ないんだよ。 それに王女に何かあったら大変よ。 国民は敵じゃない。 味方よ、アキ」 あたしはアキジュの頬を流れる涙をそっと拭った。 国の為に自分も強くなりたいと思うアキジュは、きっと芯が強いんだと思う。 ぎゅむっ。 アキジュはあたしの腕を掴んだ。 「ふふ……」 無邪気に笑いながらアキジュはあたしに擦り寄る。 「何よ。 あたしはベビーシッターじゃないって言ったでしょ?」 あたしはアキジュを離そうとする。 「ハルさん大好きです」 あたしの腕をしっかり掴んでるアキジュは離れようとしない。
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