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12月。
街はもうとっくにクリスマスムード。
健児は配達員。
クリスマス近くだから、ハガキや手紙がいつも以上にたくさんある。
それをまとめながら、宅配先を分ける作業をしていた。
「これは..○○市..これは××市..」
たくさんある手紙やハガキも、残り少しになってきた。
そんな中、1つの手紙が目に入った。
―Dear☆サンタクロースへ
綺麗とはお世辞にも言えない文字。
小さな子どもが書いたと思われる文字。
Fromを見ると、
"○○市○○町○○ 西山理花"
と書かれていた。
「これは参ったなぁ..。」
「どうした?」
健児が考え込んでいると、先輩が肩を叩きながら話してきた。
「あ..先輩。いやぁ..これ。見て下さい。」
健児は先輩へ、サンタクロース宛のあの手紙を渡して見せた。
「..ははは。サンタクロースへ、か。可愛いなぁ。..でもこれじゃあどこへも届ける事はできないからな。この子の自宅へ送り返すか..処分しかないなぁ。」
「そうですよね..。でも自宅へ送り返すとなれば..この、送り返された手紙を、西山理花ちゃん自身が見てしまう可能性もありますよね。ご両親とかが見つけて、対処してくれればいいんですが..。」
「んー。そうだよなー。..じゃあかわいそうだが,こっちで処分するか?」
先輩が手紙を半分に破るジェスチャーをして見せた。
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