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「え?あの…え…?」
「…しばらく、このままでいろよ?」
陽一はそれだけ言うと、もう何かを話す気がないのか、私の肩に顔を伏せてしまった。
……たった、それだけ?
なんだか今までされてきたことを思うと、全然軽い気がするんだけど…?
ただ、抱きしめられている。
――ただ、それだけ。
耳に聞こえるのは、私たちの呼吸音と、時計の秒針の微かな音だけ。
どのくらい時間が経ったかなんてわからない、けど…。
流れる空気は、抱きしめられる身体は、ほのかに温かくて。
(まるで…あの頃に還ったみたい、だな……)
…この空気が、懐かしくて。
戻らない時間が、もどかしくて。
私も、陽一の胸に顔を伏せた。
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