第一章

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「で、昨日はどうなったの?」 「どうって?」 彩加は私の前の席に座った。 「も~白々しいな~!一緒に帰ったんでしょ?」 「帰ったけど、」 そう、昨日あのあとせっかくだからって言ってアイツと一緒に帰ったんだ。 正確には一緒に帰らされたんだけどね。 あの野次馬どもに。 「ほんとに何もなかったの?」 「うん」 「ちゅーは?」 「してない」 「ぎゅーっとかは?」 「ない」 「手は繋いだでしょ?」 「繋いでない」 「…………。」 あ、黙った。 「てか、会話すらなかったからね」 「ええーーっ!!何その離婚寸前の夫婦みたいなかんじ!」 「その例えどうなの。 ま、無言無言無言ばいばーい、みたいな」 私は手を振る動作を入れながらそう言った。 「ばいばーいって、そんなのんきに……」 彩加はがっくりと肩を落とした。  
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