第一章

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後ろから追ってくる声が聞こえる。 私はスピードを変えずすたすた歩いていく。 「綾乃っ、待って」 「…………」 「綾乃、ちょっと待ってよっ」 「…………」 「綾乃!どこ行くの?!」 彩加が私に追いついて、腕をがしっとつかんできた。 私は足を止めた。 振り返り、冷たい目で彩加を見る。 「トイレくらい行かせてよ」 「あっごめん」 彩加はバツの悪そうな顔をして、つかんでいた手をパッとはなした。 私はニヤリとする。 「彩加の負け」 私がそう言うと、彩加は一瞬キョトンとして、理解できたのか「あーーーっ!」と声をあげた。  
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