第一章

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  好きです 付き合ってください 紙には、シャープペンシルでそう書かれていた。 緊張したんだろう。文字がすごく震えてる。 下の方に彼のものであろうメールアドレスが添えられてあった。 「何何?」 彩加がテーブルに乗り上げて紙をのぞき込んできた。 「好きです、付き合ってくださ……ってええ?!告白?!!」 彩加はよほど告白というものに縁が無いのか、この状況にあわてふためいている。 コウヘイがどれか分かんないけど、チラリとあちらを見ると、変わらず熱い視線を送ってきていた。 こっちを見る眼差しでどれかコウヘイなのか予想がついた。 「まぁそういうことだから。返事決まったら、そのアドレスに」 「いいよ」 棚橋は目を開いた。 「…………え?」 「だから、いいよ。」 「それって付き合うってこと?」 「うん」 「「うおおおおおおお!!!」」 私の返答に、向こうのテーブルにいた男3人は興奮して騒ぎだした。 ……聞いてたのか。  
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