163人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
信号が青に変わって、人々が一斉に動きだす。
私たちは足を動かすことが出来ず、周りの人たちは私たちを避けて歩き出し、とたんに人混みに埋もれた。
喧騒が遠く聞こえて、まるで私たちだけの世界のような感覚に陥る。
「……うん、それは薄々気付いてたよ」
「あっ、あー…、そうなんだ」
薄々どころかめちゃくちゃ気付いてたけど。
宏平は「そりゃそうだよな」と苦笑いを浮かべながら独り言のようにぽつりと言って、足を進めようと促した。
「…………」
どうして、そんな顔するんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!