第一章

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「こうへーい」 棚橋があっちのテーブルに向かって言った。 「ほらっ、行ってこいよ」 「無理!無理無理無理!」 「何のために協力してやったと思ってんだ。おら、行け!」 「うおっ」 1人が二人に背中を押され、勢いよく前に出てきた。 ……やっぱり、アイツがコウヘイか。 どうやら私の予想は当たっていたらしい。 そいつは重い足取りでこっちのテーブルにやってきた。 黒ぶちメガネ 少し切れ長の目 長いまつげ 筋の通った高めの鼻 色素がうすく若干茶色がかっている髪の毛は、ワックスで無造作に固められている。 体も細めで、ひょろひょろしてるかんじ。 所謂、“草食系男子”といったところか。 「とりあえずお互いに自己紹介を……って、なんで俺が進行しなくちゃなんねーんだ」 棚橋の言葉に後ろの野次馬二人はアハハと笑う。 っていうか、ファミレスでこんなことするの迷惑でしょ。 あんまりお客入ってないったって非常識に変わりはない。 さっきから周りのお客と店の人の目がイタイ。  
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