第一章

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っていうか…… 「論外なんだけど」 「え?」 私がポツリと呟いた言葉は、彩加たちには届かなかった。 いや、届いたら困るけどさ。 てかまじ、勘弁。 こんなやつと付き合うの? こんな、いかにも草食系で弱そうなコイツと。 まず告白が間接って時点でアウトだし。 それなのに告白を断らなかった私は、意地でも“来るもの拒まず、去るもの追わず”を貫き通したいからなのか…… いずれにせよ、コイツに期待なんてしない。 ましてや、コイツに恋心を抱くなんて―― ないない。アリエナイ。 コイツもせいぜい、1ヶ月……いや、2週間程度じゃない? こいつもまた、私の中の『つまんなかった男リスト』に入るんだろうな。 ……そんなもん無いけど。 とりあえずってことで自己紹介だけさせられた。 彼の名前は『佐藤宏平』って言うらしい。 そいつは私のことをむず痒くも「高畑さん」と呼ぶので、私も「佐藤くん」と呼ぶことにした。  
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